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子育て、暮らしのあれこれ…

ミニトマト爆弾が爆発しなくなった話

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先日の夕食時、野菜サラダと一緒にミニトマトが皿に乗っていた。一人一個ずつがノルマだ。『ノルマ』とはいえ、娘はトマトが好きなのであればあるだけ食べてしまう。(私自身は別にトマトを嫌いでもないしかと言って好きでもないが、栄養だと思って口に入れている)

さて、そんなミニトマトを娘が口に入れた瞬間。それは爆発した。口を完全に閉じる前に歯でトマトを噛んだからだ。果肉は娘の口の中に残ったが、破裂した内部のじゅくじゅくした種の部分がダイニングテーブルに飛び散る。娘は二へ二へ笑いながらそれらをティッシュペーパーで拭った。白い洋服や椅子のファブリックにつかなくてよかった。

「爆発久しぶりだねぇ」

と夫が言った。私はそれを聞いてそういえばそうかもしれないなぁと思った。小さいころの娘もミニトマトが好きな女の子だったが、高頻度で爆発させていたものだ。二回に一回。三回に一回くらいの高頻度だったときもある。それが爆発させずに食べられるようになっていたとは、この日の爆発を見るまでちっとも気づかなかった。いつから爆発させていないのか私は少しも覚えていないが、娘と夫は最後に爆発させたのはいつだったかを話し合っていた。二人は私に比べて記憶力が良い。

もちろん娘がまだ幼児食を食べていたころは、ミニトマトは包丁で四分の一に切ったものを食べさせていた。それが二分の一になって、いつの間にか丸のまま与えるようになっていた。幼稚園が始まればお弁当の隙間には必ず赤い球をねじりこみ、野菜を食べさせたいときの夕飯の手っ取り早い野菜はトマトだった。ザルに入れて洗えばすぐに食べられる必殺技みたいなものだ。それは今も変わらない話か。

娘が最初に歩いた時のことをとても良く覚えている。彼女を風呂に入れようと適当な場所につかまり立たせて私が服を脱がしていた。最後にぱんぱんに膨らんだオムツを脱がそうとしたとき、その短い脚がヨッチと私の方へ動き、あれよあれよと思っているうちに二歩三歩と歩いたのだ。あわててスマホを手に取って歩く娘を撮影した。なぜあの半裸のタイミングだったのか。私や夫が見る分にはかわいい動画や写真だが、人に見せにくい映像となってしまった。あぁ、そうだ。初めての寝返りの時のこともくっきり思い出せる。娘を床に転がしておもちゃで遊んでいた時だ。気づいたらコロリと転がっていて、それが寝返りだと気づくのに一瞬遅れたくらいだった。その日は適当な毛玉がたくさんついた灰色のお下がりの服を着せていて、もし今日が初寝返りの日だとわかっていたらもっとかわいい服を着せたのにと悔やんだのを覚えている。『できるようになった瞬間』というものは記憶に残りやすい。だが、反対に『やらなくなった瞬間』というものは記憶にならないのだなと思う。ミニトマトを最初に爆発させずに食べたのはいったいいつだったのか、私は一つも覚えていない。

ミニトマトが爆発しなくなった娘だが、彼女はまだまだおにぎりやトルティーヤ、今川焼を爆発させている。たぶんあれは彼女の持ち方が悪い。両手の指先で皮の一部分をキュッと握るから、外の皮がベローと外側に向かってめくれて中の具が飛び出すのだ。悲鳴を上げながら中の具を必死に食べる娘がかわいいので、なんとなく正しい食べ方を教えないでいる。

まぁ、そのうち自分で必勝法を編み出すでしょう。